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極東製薬工業(株)公式ブログです。
当社と関わりのある先生方からの投稿記事や、当社の細胞培養オタク研究員のつぶやきを紹介致します。

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【特別講義2】免疫反応におけるT細胞の台頭

細胞培養特別講義 第2回講師は、順天堂大学医学部 免疫学講座 客員教授の垣生園子先生です。

■講師紹介ページ:順天堂大学 垣生 園子先生

 先生は女性初の日本免疫学会学術集会会長を務めるなど、日本の免疫学発展に貢献された立役者です。当ブログでは先生の研究テーマであるT細胞の胸腺内分化の知識の一端として、免疫学の基礎にはじまりT細胞胸腺分化の謎に至るまでを独自のエピソードとともに解説していただく予定です。初回は免疫反応におけるT細胞の台頭として寄稿頂きました。是非お楽しみ下さい。



        “免疫反応におけるT細胞の台頭”
   順天堂大学医学部 免疫学講座 客員教授 垣生 園子先生


 科学研究の世界にもファッションがあり、新しい現象発見と技術開発がその引き金となる。抗体解析を軸とした血清学時代に替わって免疫反応に関わる細胞の研究が盛んになるきっかけは、T細胞とよばれるリンパ球の発見にあった。
今回は、T細胞が市民権を得て、免疫反応細胞の司令塔として君臨するに至った経緯とその機能について解説する。

 マウス胸腺に発症するリンパ球腫瘍の研究をしていたMillerは白血病の根絶を目的に新生仔マウスの胸腺を除去した。結果は、当該マウスにおける病原体への易感染性と免疫力の低下であった。しかし、抗体を発現しているリンパ球は残っていた。偶然にも同じ頃、自然発生の突然変異マウス(ヌードマウス)が見つかった。そのマウスは胸腺が欠損しており、新生仔胸腺摘出したマウスと同じく免疫反応の低下を示した。こうして、抗体産生細胞とは異なる第2のリンパ球が胸腺内で発生・分化することが判り、それらは胸腺(Thymus)由来ということでT細胞と命名された。それに対応して、抗体産生系のリンパ球は骨髄(Bone marrow)由来のためB細胞と呼ぶようになった。

 T細胞が免疫細胞研究の潮流をリードしてきた要因は、抗原刺激を受けたT細胞が種々の異なった機能を発揮することにあった。その後押しをしたのは、アロ及びモノクローナル抗体の開発と培養技術の進歩である。抗体産生一筋のB細胞と違って、T細胞は各々ヘルパー、キラー、サプレッサー等の機能を専属にするサブセットがあって、多彩な免疫反応を各々支配していることが判ってきた。特に、続いて台頭してきた遺伝子ハンティングの技術は、各サブセットの機能の違いを分子レベルで明らかにすることを可能とした。

 その結果、例えばヘルパーT細胞は産生するサイトカインの違いによりTh1, 2, 17といったさらなる亜分類がなされ、Th1細胞はマクロファージ樹状細胞を活性化/増殖を促し、Th2細胞はB細胞による抗体産生を含む分化や顆粒球細胞やマスト細胞の増殖に関わる。比較的新しく発見されたTh17細胞は、繊維芽、血管細胞あるいはマクロファージといった細胞に働きかけて、炎症性サイトカインやケモカイン産生を誘導することが判った。

 ここで留意すべきは、ナイーヴT細胞が機能の異なるエフェクター細胞へ分化する引き金は、いずれも抗原を特異的に認識する分子(T細胞受容体)を介して誘導されることである。こうしてT細胞は、機能は異なるが同じく抗原認識分子(B細胞受容体)を持つB細胞と共に抗原特異的に反応し、ジェンナーの種痘そしてパルツールの病原菌分離から発展した獲得免疫の骨格を構築している。

 しかし、獲得免疫反応の成立には、“自然免疫”として括られる先陣をきる生体反応が必用である。現在、“自然免疫”はファッション界を闊歩している。次回は“自然免疫”台頭の解説をする。

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